「ふたりの友」

« Deux amis », le 5 février 1883



ふたりの男性が酔いに任せて戦闘地帯で釣りを始める。

夢中で釣っていると、背中に銃が突きつけられて……。

無辜の市民の悲劇を描く、「戦争もの」を代表する1編。



「ふたりの友」掲載紙 Source gallica.bnf.fr / BnF 解説 1883年2月5日、日刊紙『ジル・ブラース』Gil Blas に掲載された短編(モーフリニューズの筆名)。同年短編集『マドモワゼル・フィフィ』第2版に収録される。『ゴーロワ』付録(1883年3月24日)、『民衆生活』(1883年4月8日)に再録。『中短編集』(シャルパンティエ書店、1885年)、『作品集』(リブレリ・イリュストレ、1886年)にも収録。
 その後も、『政治文学評論』(1888年3月18日)、『エコー・ド・ラ・スメーヌ』(1888年11月11日)、『アントランシジャン・イリュストレ』(1891年11月5日)、『家庭生活』(1892年4月3日)、『ヴォルール』(1892年3月31日)、『エコー・ド・パリ』(1892年3月13日)に再録がある。
 「狂女」(『ゴーロワ』、1882年12月5日)に続いて普仏戦争を舞台とした作品。1882年には詩人ポール・デルレードらによる「愛国者同盟」が結成され、対独報復が声高に叫ばれていた。モーパッサンはそうした思潮に抗い、戦争の非道さ、不条理さを告発している。このあとにも「聖アントワーヌ」(『ジル・ブラース』、1883年4月3日)や「ヴァルター・シュナッフスの冒険」(『ゴーロワ』、4月11日)が書かれる。
「ふたりの友」挿絵 Source gallica.bnf.fr / BnF  1870年7月19日、フランスはプロイセンに宣戦布告して普仏戦争が始まった。9月2日、スダンでナポレオン三世が降伏、第二帝政が崩壊し、4日には臨時国防政府が成立する。臨時政府は停戦案を拒絶して戦争を継続したため、プロイセン軍は9月17日よりパリを攻囲する。
 パリの成人男性は国民軍を編成して都市防衛に努めた(本短編のモリソとソヴァージュもその一員)。その一方で再編されたフランス軍は北方、東部、ロワール地方のそれぞれで抵抗を試みるが、いずれも敗北を重ねてゆく。年が明けて1871年初頭、籠城が3か月を越えたパリでは食料が欠乏し、人々は手に入るものは何でも口にするような状態に陥る。本短編では冒頭の3文でその様子が喚起されている。戦後十数年のパリの読者には、それだけで過去を思い出すのに十分だっただろう。
「ふたりの友」挿絵 Source gallica.bnf.fr / BnF  当時の再録の多さからも、この短編が早くから評価されていたことが窺われる。実際、本作は簡潔な文章で一般市民を襲う悲劇を描き出して印象深く、戦争の非道さを鋭く告発している。一方で、攻囲下のパリ、陽気と酔った勢いで前哨を越えて釣りに出かけるという主人公の行為は軽率に違いなく、モリソとソヴァージュに非があるのも確かである。また、捕えられるまでのふたりは戦争を愚劣な行為としか見ておらず、特別に「愛国的」な人物として描かれているわけでもない。そのような曖昧さがあるがゆえに、この作品は、ふたりの友を「抵抗者」として称える単純な愛国的物語に陥ることを免れていると言えよう。本編ではふたりの釣った魚が効果的に用いられ、深い余韻を残す結末となっている。
 「二人の友」の題で、青柳瑞穂訳(『モーパッサン短編集』第3巻、新潮文庫)、高山鉄男訳(『モーパッサン短篇選』、岩波文庫)などの既訳が存在する。
 なお『ふらんす』、2025年2月号、3月号において「対訳で楽しむモーパッサンの短編」の欄で本短編を取りあげた(各回6頁)。
 右の画像はリブレリ・イリュストレ版『作品集』(1886)より、G. Jeanniot の挿絵。


***** ***** ***** *****

ふたりの友


 パリは包囲され、飢え、あえいでいた。屋根の上のスズメもすっかり稀になり、下水道にも生物の気配がなかった。人々はどんなものでも口にした。
 1月の明るい朝、職業は時計屋だがたまたま国民軍(1)に召集されたモリソ氏は、手を軍服のズボンのポケットに突っ込み、腹をすかせながら外周道路(2)を悲し気に散歩していたところ、同僚の前ではっと立ち止まり、友人であることに気がついた。水辺で知り合ったソヴァージュ氏だった。
 戦争前は毎日曜日、モリソは竹製の釣り竿を手に、ブリキの箱を背負って、明け方から出かけたものだった。アルジャントゥイユ(3)行きの汽車に乗り、コロンブ(4)で降りると、徒歩でマラント島(5)まで行く。夢のような島に着くやいなや釣りを始め、夜まで釣り続けるのだった。
 毎日曜日、そこで太っちょで快活な男性、ソヴァージュ氏に出会った。ノートル=ダム=ド・ロレット通り(6)の小間物商で、彼もまた熱狂的な釣りの愛好家だった。ふたりはしばしば並んで半日を過ごした。手には釣り道具、流れの上に突き出した足が揺れている。ふたりは互いに友情を抱いたのだった。
 何も話さない日もあった。おしゃべりすることもあったが、何も言わなくてもすっかり理解し合っていた。好みが似通っており、感じ方も一緒だったからだ。
 春、朝の10時頃、若返った太陽は穏やかな川面にわずかにもやを漂わせ、もやは水とともに流れていく。そして太陽はふたりの熱狂的な釣り人の背中に、新しい季節の暖かみを降り注ぐ。そんな時、モリソは時折隣人に言うのだった。「ああ! 気持ちいいですねえ!」 するとソヴァージュ氏が答える。「これ以上のものは知りませんよ」 それだけで、ふたりが分かり合い、尊敬し合うのに十分だった。
 秋、日が暮れる頃、夕日に真っ赤に染まった空が、水面に深紅の雲を映し、川全体を緋色に染め、地平線を燃え立たせ、火のようにふたりの友を赤くし、すでに紅葉した木々を黄金色にし、木々は冬の訪れに震えているとき、ソヴァージュ氏はほほ笑みながらモリソを眺め、「なんという光景でしょう!」と言う。感動したモリソは、浮きから目を離さずに答えるのだった。「パリの大通りよりも価値があるんじゃありませんか?」
 相手を認め合うや、すぐにふたりは力強く握手を交わした。あまりにも状況が変わってしまったなかで再会したことにすっかり感動していた。ソヴァージュ氏がため息を漏らしながらつぶやいた。「まったくとんでもない事件ですな!」 モリソはとても陰鬱な様子で不平を述べた。「それになんていう天気でしょう! 今日は今年最初の晴天ですよ」
 実際、真っ青な空は光に満ちあふれていた。
 夢見心地ながら寂しい気分で、ふたりは並んで歩き始めた。モリソが口を開いた。「それに釣りは? ああ! なんと懐かしい思い出でしょう!」
 ソヴァージュ氏が疑問を口にした。「いつになったら戻れるんでしょうな?」
 ふたりは小さなカフェに入り、一緒にアブサントを飲んだ。それからまた歩道を散歩し始めた。
 モリソが急に立ち止まった。「もう一杯いかがです?」ソヴァージュ氏が同意した。「お心のままに。」ふたりは別の酒場に入った。
 出たときにはすっかりいい気分になっていた。すきっ腹をアルコールで一杯にした人らしく頭がぼんやりしている。暖かかった。そよ風が愛撫するように顔をくすぐる。
 陽気で酔いが回ったソヴァージュ氏が立ち止まった。「行ってみましょうか?」
「どこへです?」
「釣りにですよ、もちろん」
「でもどこへ?」
「私たちの島ですとも。フランス軍の前哨はコロンブの近くにあります。私はデュムラン大佐を知っているんです。簡単に通してくれますよ」
 モリソは欲望に震えた。「決まりですな。行きますよ」 そしてふたりは道具を取ってくるために別れた。
 1時間後、ふたりは並んで大通りを歩いていた。そして大佐のいる邸宅に着いた。大佐は彼らの要求に笑みを浮かべ、ふたりの気まぐれに許可を与えた。ふたりは通行許可証を携えて歩き出した。
 やがてふたりは前哨を越え、見捨てられたコロンブを通過し、セーヌ川へくだってゆく小さなブドウ畑に行き着いた。おおよそ11時頃だ。
 正面では、アルジャントゥイユの村が死んだように見える。オルジュモンとサノワの丘陵が辺りを見おろしている。ナンテール(7)まで続く平野には何も、まったく何もなく、ただ裸の桜の木と灰色の土があるばかりだ。
 ソヴァージュ氏は指で丘の頂を示しながらつぶやいた。「あそこにプロイセン兵がいますな!」 この人気のない地域を前にして、ふたりの友は不安で動けなかった。
「プロイセン兵!」 目にしたことは一度もなかったが、何か月も前から、彼らがパリの周囲にいるのを感じていた。フランスを破壊し、略奪し、殺戮し、飢餓で苦しめる、目に見えない全能の存在だ。この勝ち誇った見知らぬ民族に対する憎しみには、一種の迷信的な恐怖が混ざっていた。
 モリソが口ごもって言った。「ああ! もし出くわしたらどうしましょう?」
 ソヴァージュ氏が答えた。それでもなおパリっ子らしい冷やかしが顔を出す。
「魚のフライでもご馳走しますかな」
 だがふたりは地平線まで続く静けさに怖気づき、平野に足を踏み入れのをためらっていた。
 ようやくソヴァージュ氏が決心した。「さあ、行きましょう! でも十分注意しましょう」 そしてふたりはブドウ畑をおりていった。身を屈めて這うようにして、藪に身を隠しながら、目は不安げで、耳をそばだてている。
 川岸にたどり着くには、最後に裸の細い土地を渡らねばならなかった。ふたりは走り出した。岸辺に着くと、乾いた葦の茂みのなかにうずくまった。
 モリソは地面に頬をつけ、周囲を誰か歩いていないか聞き分けようとした。何も聞こえなかった。ふたりだけ、まったくのふたりだけだった。
 ふたりは安心し、釣りを始めた。
 正面には見捨てられたマラント島があり、向こう岸からふたりを隠してくれている。レストランの小さな建物が閉められていて、何年も前から見放されているかのようだった。
 ソヴァージュ氏が最初の川ハゼを釣った。モリソが二匹目を捕えた。次から次にと、釣り竿を持ちあげると釣り糸の先に小さな銀色の魚が震えている。奇跡のような大漁だった。
 足もとで水に浸かっている目の詰まった網状の袋に慎重に魚を入れると、ふたりは心地よい喜びに満たされた。長いあいだ奪われていた快楽を再び見いだした時に人が感じるあの喜びだった。
 申し分のない太陽が背中に熱を注いでくる。ふたりはもう何も耳に入らず、何も考えていなかった。他の一切は関心の外で、釣りに夢中になっていた。
 だが突然、地下から届くかのようなこもった音が地面を揺らした。大砲がうなり出したのだった。
 モリソは首を回し、川岸の向こうの彼方、左手にヴァレリヤンの丘(8)の大きなシルエットを認めた。頂上に白い羽根飾りを乗せている。吐き出したばかりの砲煙だ。
 城塞の頂上からすぐに二本目の煙があがった。少しあとにはまた次の砲声が鳴り響く。
 そしてまた次々と続く。時々刻々、山は死の息を吐き、乳白色の蒸気を吐き出すと、穏やかな空にゆっくりとのぼって、山の上に雲を作ってゆく。
 ソヴァージュ氏は肩をすくめた。「ほらまた始めましたよ」と彼は言った。
 モリソは浮きの頭が浮いては沈むのを不安げに眺めていたが、突然、こんな風に我を忘れて戦っている者たちに対する穏和な人物らしい怒りに捕われて文句を口にした。「こんな風に殺しあうとはなんて愚かなんでしょう」
 ソヴァージュ氏が続けた。「動物以下ですな」
 コイを捕まえたばかりのモリソは断言した。「政府が存在する限りはいつまでも変わりませんよ」
 ソヴァージュ氏が口を挟んだ。「共和国なら宣戦布告はしなかったでしょう……」
 モリソは遮った。「王がいれば外国と戦争、共和国なら内戦ですよ(9)
 それからふたりは穏やかに議論を始め、政治的な大問題を穏健だが偏狭な人間の健全な理性で解きほぐし、決して自由になることはないだろうという点で一致した。そしてヴァレリヤンの丘は休みなくとどろき、砲弾でフランス人の家を破壊し、生命を粉砕し、存在を押しつぶし、多くの夢、多くの喜びへの期待、多くの幸福への希望に終止符を打ち、彼方、別の国々住む女たちの心、娘たちの心、母たちの心に終わることない苦しみを開いていた。
「これが人生ですよ」とソヴァージュ氏が断言した。
「むしろ、これが死だと言うべきでしょう」と、モリソが笑いながらつけ加えた。
 だが背後を誰かが歩いたのを感じて、ふたりは恐怖に震えあがった。視線を向けると、背中のすぐ近くに4人の男が立っていた。背の高い男たちはあごひげを生やして武器を持ち、制服を着た召使いのような身なりに平らな軍帽をかぶり、銃の先でふたりに狙いをつけている。
 ふたりの手を離れた釣り竿が川を流れていった。
 瞬く間にふたりは捕えられ、繋がれ、運ばれ、小舟に放り込まれ、島へ渡った。
 そして、ふたりが見捨てられていると信じた建物の裏に、20人ほどのドイツ兵の姿を認めた。
 一種の毛深い巨人が、椅子に馬乗りになって、磁器製の大きなパイプを吸っていたが、流暢なフランス語でふたりに尋ねた。「それで諸君の釣りはうまく行きましたかな?」
 そのとき、ひとりの兵士が将校の足もとに魚で一杯の網を置いた。彼がわざわざ運んできたのだった。プロイセン将校はほほ笑んだ。「ああ! ああ! 悪くなかったようだね。だが問題は別のことだ。私の言うことを聞きたまえ。動揺することはない。
 私にすれば、諸君は私の様子を窺いにきたふたりのスパイだ。私は君たちを捕まえたから、諸君は銃殺される。君たちは釣りの振りをして、計画をうまく隠そうとしたんだろう。だが君たちは私の手に落ちた。お気の毒だが、これが戦争だ。
 しかし君たちは前哨を通ってきたのだから、間違いなく帰るための合い言葉を知っているはずだ。その合い言葉を教えるんだ。そうしたら赦してやろう」
 並んで立つふたりの友は青ざめ、神経質に手を小さく震わせながら黙っている。
 将校が言葉を継いだ。「誰にも知られることはない。君たちは平和に家に帰れるだろう。君たちと一緒に秘密も消える。もし拒むなら、待っているのは死、それも直ちにだ。選びたまえ」
 ふたりは口を開かずにじっとしている。
 プロイセン将校は冷静なまま、川のほうへ手を向けながら続けた。「5分後にはあの川の底だと想像したまえ。5分後だぞ! 君たちにも親族がいるんだろう?」
 ヴァレリヤンの丘は絶えずとどろいている。
 ふたりの釣り人は黙ったまま立ち尽くしている。ドイツ将校は自国語で命令をくだした。それから椅子の位置を変え、捕虜から遠ざかった。12人が20歩離れたところに並び、銃を足もとに置いた。
 将校が口を開いた。「1分待とう。それ以上はもうないぞ」
 それから彼は急に立ちあがると、ふたりのフランス人に近づいた。モリソの腕をつかんで離れたところへ連れてゆき、小声で話しかける。「早く合言葉を言わないか? 友人には分からない。私は同情したのだという振りをするさ」
 モリソは何も答えなかった。
 するとプロイセン将校はソヴァージュ氏を連れてゆき、同じ質問をした。
 ソヴァージュ氏は答えなかった。
 ふたりはまた並んだ。
 将校は命令し始めた。兵士たちが武器を持ちあげる。
 そのとき、モリソの視線が偶然に、数歩先の草の上にある川ハゼで一杯の網に止まった。
 陽の光が魚の山を照らす。魚はまだ動いていた。モリソはめまいに襲われ、こらえ切れずに目に涙があふれた。
 彼は口ごもりながら言った。「さようなら、ソヴァージュさん」
 ソヴァージュ氏が答えた。「さようなら、モリソさん」
 ふたりは握手した。つま先から頭のてっぺんまで震えるのを抑えられなかった。
 将校が叫んだ。「撃て!」
 12発の銃声が一斉に鳴り響いた。
 ソヴァージュ氏がうつむけにどさりと倒れた。背の高いモリソはふらつき、体を回転させると、顔を空に向けて友人の上に交差するように崩れ落ちた。胸元が破れた上着から泡立った血が漏れ出ている。  ドイツ将校が新たな命令をくだした。
 兵士たちは散り散りになり、紐と石を持って戻ってくると、ふたつの遺体の足に結びつけた。そして遺体を岸辺に運んだ。
 ヴァレリヤンの丘はうなり続けており、今や頂は煙の雲に覆われている。
 ふたりの兵士がモリソの頭と足を持った。他のふたりが同じようにソヴァージュ氏をつかむ。瞬時に力を込めて揺すられたあと、遠くに投げられた遺体は宙に曲線を描き、足が先に石に引っ張られたので、直立したまま川に飛び込んでいった。
 水が跳ね、泡立ち、ざわめいたあとに静まる一方、かすかなさざ波が岸まで届いた。
 少しばかりの血が漂っている。
 将校は落ち着いたまま小声で言った。「あとは魚がやってくれるだろう」
 そして彼は建物に戻ってきた。
 不意に、草の上に川ハゼの網があるのが目に留まった。彼はそれを拾いあげると中を調べ、ほほ笑みを浮かべながら叫んだ。「ヴィレム!」
 白いエプロンをかけた兵士が駆けてくる。プロイセン将校は銃殺されたふたりの釣果(ちょうか)を彼に向かって投げながら命じた。「すぐにこの魚を生きているうちにフライにしてくれ。きっと美味しいだろう」
 それから彼はまたパイプをふかし始めた。


『ジル・ブラース』紙、1883年2月5日
Gil Blas, 5 février 1883.
Guy de Maupassant, Contes et nouvelles, éd. Louis Forestier, Gallimard, coll. « Bibliothèque de la Pléiade », t. I, 1974, p. 732-738.

(画像:Source gallica.bnf.fr / BnF)




訳注
(1) ここでの「国民軍」は「国民駐留隊」garde nationale sédentaire を指す。戦争開始後の1870年8月12日、1851年の法律を改正する形で、形骸化していた「国民駐留隊」の制度が再生された。原則として、軍人およびすでに「国民遊撃隊」garde nationale mobileに加入する者を除く、20歳以上の男性が入隊した。55歳以下の者が現役、それ以上の者は予備役とされたが、種々の条件(障害・職業・収入)により免除になった者も多い。9月29日の命令により、21-40歳の子どもを持たない独身男性が動員された。なお本文では pantouflard が用いられている。pantoufle「スリッパ」からの造語で、国民軍に召集されるが戦場には赴かない者を指した。
(2) Le boulevard extérieur:1860年のパリ市拡張の際に解体された「徴税請負人の壁」に沿った大通り。
(3) Argenteuil:パリの北西約10キロに位置する町。
(4) Colombes:パリの北西に位置する町。セーヌ川を挟んでアルジャントゥイユと接している。
(5) Île Marante:コロンブとアルジャントゥイユのあいだにあった島。現在は埋め立てられて公園となっている。
(6) Rue Notre-Dame-de-Lorette:パリ9区にある通り。
(7) Nanterre:コロンブの南西に位置する町。19世紀当時は平野で狩猟者に愛好されていた。
(8) Mont Valérien:ナンテールの南部に位置する丘陵。1840-46年にかけて城塞が築かれ、パリ防衛の重要な拠点のひとつだった。
(9) 1870年9月4日、立法議会に民衆がなだれ込み、ガンベッタは帝政の廃止を宣言(皇后ウージェニーはイギリスに亡命)、ジュール・ファーヴルらとともに市庁舎に乗り込み、共和政を宣言した。「共和国なら内戦」の言葉は、1871年3月18日から5月28日まで続いたパリ・コミューンを想起させる。


(*翻訳者 足立和彦)

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