第187信 エミール・ゾラ宛
Lettre 187 : À Émile Zola
解説 1880年5月31日からモーパッサンは『ゴーロワ』紙に『パリのあるブルジョアの日曜日』の連載を開始する。その第5回「二名士」(6月28日)において、主人公のパティソーは画家エルネスト・メソニエ(1815-1891)、およびゾラの家を訪問する。本書簡はその執筆経緯を伝え、ゾラの機嫌を損ねないように弁解することを目的としている。
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[1880年6月または7月]
親愛なる先生にして友人へ、
2週間前からメイエールが、私のお人よしのパティソーに芸術家の家を歩かせるように責め立てるので、私はあなたから始めました。私は乗り気ではなく、あなたをうんざりさせるだろうと彼に言いました。彼は反論し、すでにあなたについてたくさんの記事が書かれたのだから、ひとつ増えようが減ろうが困りはしないだろうと言うのです。その通りだと思ったので、私は譲歩しました。あなたにこのことをお伝えするのは、どうしてこの記事を書く羽目になったかお知らせするためで、私は内密なことは何も書かないようによく注意し、その記事が部外者の手になるかのようにして、どんな批評も受けないように留意しました。あなたの住まいへの一瞥であって、どんな種類の評価もしていません。そもそも私はポワッシーのメソニエの家から始めましたし、それも完全に同じ調子です。これによって私は次に他の者の家に行き、より自由に、異なった仕方で評価をくだすこともできるでしょう。
握手を、ゾラ夫人に敬意と挨拶をお伝えください。
ギィ・ド・モーパッサン
Guy de Maupassant, Correspondance, éd. Jacques Suffel, Évreux, Le Cercle du bibliophile, 1973, t. I, p. 289-290.
(*翻訳者 足立 和彦)
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