モーパッサンを巡って
へようこそ!
Bienvenue à "Autour de Guy de Maupassant" !
はじめに
あなたはモーパッサンを知っていますか?
「モーパッサン」の名前が気になって当サイトを訪れてくださったあなたは、きっと「はい」と答えてくださることでしょう。では、あなたはモーパッサンをどれくらい知っていますか?
モーパッサンといえば「脂肪の塊」や「メゾン・テリエ」あるいは「ジュールおじ」「雨傘」「酒だる」なんかの短編、そしてなんといっても『女の一生』を書いた19世紀のフランスの作家。それぐらいのことをご存知かもしれません。それだけでも十分に立派です。でも、モーパッサンはそれだけの作家ではありません。そのことをご存知ですか?
わずか10年たらずの間にモーパッサンが執筆した中短編の数は実に300数編。そしてその他に、『ベラミ』『モントリオール』『ピエールとジャン』といった長編を6編著しました。残念ながら作者の死によって未完に残された断片2編もあります。
ところで、若い文学青年だった頃のモーパッサンはもっぱら詩を書いて、自ら詩人をもって任じていました。彼が最初に出版した作品集は、タイトルもずばり『詩集』といいます。
1880年代に活躍したモーパッサンは、劇にも挑戦しています。若い頃の韻文歴史劇『レチュヌ伯爵夫人』の苦い失敗の後、後年に『ミュゾット』『家庭の平和』という作品を発表。好意的に迎えられました。
そして忘れてならないのがジャーナリズムの活動です。中短編の執筆と平行して、モーパッサンは新聞・雑誌にたくさんの時評文を掲載しました。今日分かっているその総数は250ばかり。それらを寄せ集めるようにして『水の上』をはじめとする旅行記3冊も発表されました。
あなたは、そうしたことをご存知でしたか?
当サイト「モーパッサンを巡って」は、そのような、これまであまり知られることのなかった面も含めた作家モーパッサンの全体像を知っていただくために作成されています。
まずは作家の紹介、年表、詳細な作品リストやリンク集を設けることで、作家モーパッサンに関するデータの紹介を行っています。
一方では、拙訳によって、これまで日本に紹介されることのなかった(あるいは少なかった)作品を公開してゆきたいと考えています。
なお管理人は自身モーパッサン研究を志す者です。専門的なデータに関しては誤りのないように厳しく注意していますが、あるいは間違いが見つかることもあるかもしれませんし、管理人の主観が濃く出た表現があるかもしれません。「疑い深い」と同時に「寛容」な目で当サイトをご覧いただけますように、お願い申し上げる次第です。
モーパッサンに少しでも関心のある方から、仏文学専攻でモーパッサンを研究しようと志す大学生まで、当サイトが作家モーパッサンをより深く知る手助けになることを願ってやみません。
誰が何と言おうとも、モーパッサン文学は決して古くありません。どうか、あなた自身の目で、これまで知らなかった、新しいモーパッサンの姿を「発見」してください。
翻訳について
何はともあれ、モーパッサンの文章に接してもらいたいとの思いから、拙い訳文なのは承知で公開しています。ご意見やご指摘など頂ければ幸甚です。
モーパッサンの翻訳は簡単なのかどうか。岸田國士は次のように記しています。
「モオパッサンは、なんでもないやうで、やつてみると、どうにもならない。日本語にすると、味のつけやうがないのである。物にもよるが、下手をすると、俗つぽくなつて讀めないものになりさうだ。あゝいふことを書いてあれだけの文學になるのは、佛蘭西語の力ではないかと思ふ。しかし、それよりもほんたうは佛蘭西の文化の力である。」
(「翻訳について」、『ふらんす』1936年1月号、『ふらんす 80年の回想』、白水社、2005年、p. 36-37. に再録)
モーパッサンの翻訳は本当に「どうにもならない」ものかどうか、「フランスの文化の力」とはどのようなものであるのか、を考えながら、とりあえずは正確かつ読みやすい日本語の文章を心がけつつ、私なりの翻訳を試みていきたいと考えています。
付記
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