モーパッサン「十六世紀」

« XVIe siècle », 1872



(*翻訳者 足立 和彦)

「十六世紀」掲載紙 解説 1901年11月3日、週刊誌『政治文学年報』 Les Annales politiques et littéraires に、母ロールからの提供によって発表された詩篇。ジェラール・ドゥレーズマンも『ギ・ド・モーパッサンの発見されたページ』 Pages retrouvées de Guy de Maupassant (Colombes, Les Amis de Maupassant, 1962) に掲載している。
 10音節、4行1詩節、全6詩節、24行からなる。
 田園での平和な生活の喜びが率直に歌われた詩篇であり、16世紀の詩人ロンサールを意識したものと考えられている。


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十六世紀


苔の下に隠れる鳥の巣のような
森の中の小さな小屋を僕は知っている
そこではツグミが鳴き、ジャスミンが芽生えては、
鎧戸沿いに自由に這っている。

そこでは、毎朝、愛らしい夜明けの太陽が
緋色の寝床から顔赤らめて起き出してきて、
ノルマンディーの大きな雄鶏、よく響く声で、
僕に日の輝かしい目覚めを知らせる。

もし窓を少しばかり閉めておけば、
陽気なアトリ、恐れ知らずのスズメたち、
尖った小さな口ばし、頭には羽飾りをつけ、
揃って窓のそばでさえずりを始める。

その優しい言葉から、僕は多くのことを教わる
森で人の思うこと、巣について語られること、
人の知ること、畑や庭や、バラや
空色の亜麻や、黄色い小麦について。

それから僕は愛しい小さな花々を眺めるのが好き
金色の目の太陽は笑顔で空に上り、
鳥はさえずり、つかの間の恋を探し、
蜜蜂は音を立て、蜜を探し求める。

その時、すべては幸福に満ち、すべてが愛しあい、歌いあい
僕にはどうしてこんなに幸福なのかも分からない
おお! 残酷な運命よ、僕に慈悲を!
おお! 慈悲を、僕はここでこんなにも幸福なのだから!
パリ、1872年


「十六世紀」(1872年)
Guy de Maupassant, « XVIe siècle » (1872), dans Des vers et autres poèmes, éd. Emmanuel Vincent, Publications de l'Université de Rouen, 2001, p. 215.


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