第175信 ギュスターヴ・フロベール宛

Lettre 175 : À Gustave Flaubert



(*翻訳者 足立 和彦)

解説 恐らく、モーパッサンからフロベールに宛てた最後の書簡となったもの。「脂肪の塊」の成功の知らせを師に書き送る弟子の高揚が感じ取れよう。一方、フロベールは執筆中の『ブヴァールとペキュシェ』に関する情報の収集をしばしばモーパッサンに手伝わせていた。師弟間の交流の様子をよく伝える書簡の一通。末尾の『メダンの夕べ』共作者へのモーパッサンの辛辣な批判にも、二人の間柄が窺われる。


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文部芸術省
書記課
第一部局
パリ、[1880年4月末]

 親愛なる先生、以下にお尋ねの情報をお伝えします。
 キンポウゲ科の中では、全てのキンポウゲ属には萼があります。けれどクレマチス、タリクトゥルム、あるいはピガモン、それに同じ科に属するアネモネにはありません。
 これで十分でしょうか? そうでなければ、フランス中のあらゆる博物学の先生に問い合わせることができます。この情報は博物館の助手から得たものですが、必要ならもっと上の者に尋ねましょう。
 ラピエールに『ジル・ブラース』のリシュパンの記事をお求めください。
 『脂肪の塊』は成功です。プーシェが十分満足していないとしてもです。私のコルニュデは彼を窒息させましたよ!!!! そのことで文句を言ってきました!! カチュールが会いにやって来て特別にお祝いを言ってくれました。あなたのように、彼は自分の意見としてこの小説は後世に残るだろう、二十年、三十年後にもまだ『脂肪の塊』について話題になるだろうというのです。私にとって大きな喜びでしたが、カチュールは真の文学者だからです。他にも、私にとって貴重な意見の持ち主の多くからお世辞をもらいました。
 サルセーとビゴーは、私が物語を心理で重たくしてしまったと見ます。私はせいぜい十五ページでそれを扱い、ゴーロワ流の短編のようにただ事柄だけを述べるべきだったのでしょう!!!!
 つまるところ、効果は十分なもののように思えます。火曜に出る詩集の完璧なお膳立てとなったわけですし、私に関しては、新聞紙上で繰り返される「自然主義流派」という戯言から、この詩集がすっぱりと縁を切ってくれるでしょう。それは、『メダンの夕べ』という題の過ちのせいですが、私はずっとそれが良くないし危険だと思っていました。
 さようなら、親愛なる先生、心よりご挨拶申し上げます。

G. de M.

 他の短編についてのご意見をお聞かせ下さい。以下が私のものです。
 ゾラ:結構、けれどこの主題はサンド夫人かドーデの手でも同じようにかよりよく扱われただろう。
 ユイスマンス:上手ではない。主題もなく、構成もなく、文体も乏しい。
 セアール:重たい、重た過ぎ、本当らしくなく、文体に癖があり、けれど繊細で興味を惹くものがある。
 エニック:結構、作家として良い腕前、所々に混乱あり。
 アレクシ:バルベー・ドールヴィイーに似ているが、サルセーがヴォルテールに似せようとしているが如し。


Guy de Maupassant, Correspondance, éd. Jacques Suffel, Évreux, Le Cercle du bibliophile, 1973, t. I, p. 276-277.


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