第691信 レオン・エニック宛

Lettre 691 : À Léon Hennique



(*翻訳者 足立 和彦)

解説 1891年4月1日の書簡(部分)。この時期、モーパッサンの体調はたいへん悪く、執筆も滞る状況だった。恐らく3月にジャーナリスト・ジュール・ユレの訪問を受けており、彼の記事「ギィ・ド・モーパッサン氏」に状況を窺い知ることができる。同じ4月1日のカザリス宛電報(690信)でも、頭痛などの症状に苦しんでいることが告げられている。本書簡はエニックから寄稿の依頼を受けた返事と思われるが詳細は不詳。モーパッサンは2日にニースへ旅立ったものと推測される。


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[断片]
パリ、モンシャナン通り10番地
1891年4月1日

 出発間際に君の手紙を受け取り、大いに困惑している。何であれ書くことは絶対に禁じられているんだ。『ゴーロワ』への寄稿はやめてしまった。『フィガロ』への寄稿は中断している。契約上『ジル・ブラース』に送る必要のある時評文は口述筆記しなければならない。1年前から『デバ』と書面で契約しているが、それを守ることができていない。さらに放っておいてもらうために、僕はパリを離れる。目下、誰かに何かを渡すことは絶対に不可能だということが分かるだろう……

モーパッサン


Guy de Maupassant, Correspondance, éd. Jacques Suffel, Évreux, Le Cercle du bibliophile, 1973, t. III, p. 214.






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