モーパッサン「発見」

« Découverte », 1880



(*翻訳者 足立 和彦)

解説 1880年『詩集』 Des vers に初めて収録された詩篇。
 10音節、4行1詩節で7節、全28行からなる。
 複数の手稿の存在が知られている。1869年に父に宛てた書簡の中で、「最近作った小品で、お母さんは繊細でとても優美だと思った」詩として挙げていることから、この時期に最初のテクストが書かれたものと推測される。異文の中では 恋人の名前がエディット Édith とされているが、決定稿では削除されている。


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発見


僕は子供だった。僕は愛した、偉大な戦争、
〈騎士たち〉や、彼らの重たい甲冑、
そして勇者たち、彼方で斃れた
聖なる墓を購わんとして。

イギリス人リチャードは僕の胸を高鳴らした。
そして僕は彼を愛した、征服の後
彼は戻って来た、勝利者としてその腕で、
首かせを断ち切ったのだった。

一人の〈美女〉から旗を手に取った。
一本の棒が僕の三日月刀だった。
それから僕は戦場へ出かけた、花が咲き、
芽吹いていて、僕はそれらを地面に撒いた。

自由に風に吹かれる空が僕の領地だった
苔むしたベンチ、そこに僕の王位は立てられた。
野心的な王たちを軽蔑し、
緑の小枝で、王冠を作った。

僕は幸福でうっとりしていた。でもある日
一人の女の子がやって来るのを目にした。
僕は差し出した、僕の心、僕の王国、僕の宮廷と、
僕がスペインに持っていたお城とを。

彼女は緑のマロニエの下に座った。
その時、僕は見たと思った、彼女があまりに美しかったので、
彼女の青い瞳の中に、別世界のようなものを、
そして彼女の傍で、僕はぼんやり夢想に耽っていた。

どうして夢と陽気さを投げ出したりしたのだろう
このブロンドの少女を眺めているうちに?
どうしてコロンブスはあんなに苦しんだのだろう
霧の中に、新世界を垣間見た時に?


「発見」(1880年)
Guy de Maupassant, « Découverte » (1880), dans Des vers et autres poèmes, éd. Emmanuel Vincent, Publications de l'Université de Rouen, 2001, p. 66-67.


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