モーパッサン「鳥刺し」

« L'Oiseleur », 1880



(*翻訳者 足立 和彦)

解説 1875年3月27日、『両世界の文芸・科学・芸術・産業についての挿絵入り雑誌』Revue illustrée des Lettres, Sciences, Arts et Industries dans les Deux Mondes の第18号に「鳥刺しキューピッド」« L'Amour oiseleur » のタイトル、ギ・ド・ヴァルモン Guy de Valmont の筆名で掲載された。後に1880年『詩集』 Des vers に収録。
 8音節、5行1詩節で7節、全35行からなる。
 手稿の存在が知られており、うちの一つには「ルーアン、1871年」と記されていることから、おおよその執筆時期が推測される。
 韻がa/b/a/a/bの五行詩は、ロマン主義の詩人に愛好された形式。この詩は、恋の誘惑をキューピッドのアレゴリーで語っている。


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鳥刺し


鳥刺しキューピッドは道をゆく
丘が花盛りの頃に、
藪や平野を掻き分けて。
そして毎晩、籠は一杯
彼が捕まえた鳥たちで。

夜が消えるとすぐに
彼は来て、注意して糸を張り、
あちこちに鳥もちを投げ、
それから、跡を隠すために
燕麦や粟をまく。

生垣の下に待ち伏せて、
小川のほとりにうつ伏せに、
樹木の下を這ってゆく、
自分の足で、素早い小鳥たちを
怖がらさないかと心配して。

鈴蘭やつる草の下
いたずら坊やは罠を隠す、
あるいは白いサンザシの下
そこに雪崩のように落ちて来る
ヒワ、ベニヒワ、アトリたち。

時々は、緑の柳や
ローズマリーの細枝で
罠を仕掛け、様子を窺う
ほろ酔い気分の小鳥たち
粟粒をついばみにやって来る。

うっとりと、陽気で、敏捷に、
やがて小鳥が近づいてきて、
無垢な様子で眺めてから
大胆に、危険な餌の味をみると、
網に脚を捕まれてしまう。

そして鳥刺しキューピッドは連れ帰る
瑞々しく花咲く丘から遠く、
藪からも平野からも遠く離れて、
そして毎晩、籠は一杯
彼が捕まえた鳥たちで。


「鳥刺し」(1880年)
Guy de Maupassant, « L'Oiseleur » (1880), dans Des vers et autres poèmes, éd. Emmanuel Vincent, Publications de l'Université de Rouen, 2001, p. 70-71.


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